
お疲れさまです。今日は11月7日です。11月なのに、まだまだ暑い寒いの繰り返いのような日が続きますが、皆様お元気でいらっしゃいますか?

さて、SNSでお約束したとおり、今回は「令和8年度安芸郡町議会議長会連絡協議会研修会」の研修報告をさせていただきます。
日時:令和8年11月2日(🈷)
場所:サンピア・アキ
講師:とらでぃっしゅ株式会社 代表取締役 片桐萌絵 氏(広島大学4年生)
はじめに
1.片桐萌絵: トラディッシュ株式会社代表取締役。学生起業家として、地域外から祭りの担い手を募る「わたり衆」を展開し、祭りの存続と地域活性化に取り組む。挫折・引きこもりを経て地域フィールドワークで行動の重要性に気づき、起業へ。
2.内容要旨
●祭りは消費されるコンテンツではなく、人・地域・歴史を再接続し次世代へ継承する社会インフラ。担い手としての参加が当事者意識と深い結びつきを生む。
●地域外担い手をマッチングする「わたり衆」は、担い手不足解消と継続参加(関係人口の創出)に有効。若者の再来訪を促すポジティブなしがらみ設計が鍵。
●事業の本質を「困りごとの発見・解決と感謝・対価の循環」と再定義。ソーシャルビジネスとして地域課題解決と経済循環の両立を志向。
●収益モデルは参加者課金・祭り側課金の限界から企業協賛へ転換。企業には地域貢献・採用・PRの複合価値を提供し、年間スポンサー関係を構築。
●データベース化と参加導線整備により、広島県内の膨大な祭の可視化と担い手マッチングを促進。リピート率96%の高い定着実績。
●中小規模の祭は観光化されていないが「本物の魅力」と潜在力が大きく、毎年戻る担い手数の増加が最重要の事業価値。
●自走型モデルの構築(任意団体再編・3年伴走支援)で、企業依存から地域・学生主体運営へ移行し、会社がなくても仕組みが残る「出口」を設計。
●練習会・交流・マルシェ導入などで人と経済が循環する場へ拡張。女性や県外出身者、留学生の参加拡大で包摂性を高める。
●祭りの魅力は準備や日常の「共に作る」プロセスに宿る。祭りは孤立を和らげ、再会できる居場所として機能。
●起業家精神は肩書きではなく地域改善の姿勢。伝統文化は固定ではなく、担い手による変容・継承が望ましい。
●参加者教育を徹底し、祭りを観光ではなく長期継承物としてリスペクトを求める。
●若者獲得は「祭り」ワードの正面訴求より、価値体験(主役体験・思い出・就活メリット)で誘引し、友人同伴で心理的ハードルを下げる。
●参加者負担は地域の好意と相互支援(屋台消費、民宿半額、民家・公民館滞在)を組み合わせ柔軟に設計。
●外部参加者が地域の潜在力を可視化し、住民の自己効力感を回復させる触媒効果を生む。
3.事例・成果
①東広島市東広島市秋津町「蜜祇園祭」
– 保存会の最若手が80代、コロナ・豪雨で継続困難。大学生32名の導入を契機に住民の再参加が進み、担い手120名へ回復、約200名の行列へ拡大。
– 練習会・交流を大学で複数日開催し、広島らしさを体感。慰労会・特産ふるまいで翌年の参加意欲を醸成。
②大崎上島
– 屋台不在課題に対し、中高生の屋台出展を探求学習化(価格設定・損益分岐・市場調査・商品開発・仕入れ)。推定300人超の来場に寄与。
③北広島町
– 神楽・花田植えの担い手不足に対し三年プログラムで大学生の入口づくり。就活メリットからファン化・リピートへ接続。
4.現場課題と対応
①安全・女性参加
– 宗教・歴史・安全(体格差・事故防止)に配慮し、担がない選択や周辺支援など役割設計を柔軟に。事故増加を踏まえ安全最優先。
②組織再編と学校連携
– 子ども会解散・氏子制度変容に伴いPTA・保護者連携へ軸足を移す。高校生ボランティアは周辺支援で安全・効率を高める。
③インバウンド・留学生・SNS
– 積極的インバウンド誘致は限定的だが、参加は地域の誇り回復に寄与。留学生アプローチが現実的。大学生のSNS拡散力で未接触層へ認知を拡大。
補足データ・背景
④日本の地域祭は少子高齢化・過疎化で縮小が進み、10年で約26%減少(2008年までの10年、コロナで加速傾向)。全国約30万件、市場規模約1.4兆円。広島県内は少なくとも1万件以上(自社調べ)。
⑤市民の意識は「祭はなくなってはいけない」74%だが、担い手は17%に留まり、意識と参加のギャップが存続危機の要因。
5.質疑応答
①費用負担
- 企業負担は基本なし。参加費は取らず、地域の「おもてなし」や宿泊優遇など相互支援でハードルを下げる。
②行儀・ルール逸脱への懸念
– 事前教育で祭りの重要性・地域の思いを共有し、責任ある参加を促す。現場トラブルは現状ほぼ発生なし。
③若中学生の参加促進
– 「祭り」訴求より価値体験のコピーに転換。友人同伴・特定個人への口説きでネットワーク効果を活用。
④連絡体制と協働
– 地域へ直接出向く対話を重視し、実務連絡はメール等で合意。産学連携・企業関与で担い手多様化と地域活性化を促進。
6.所感
・現役大学生である片桐萌絵氏が、地域祭礼の担い手不足解消と存続に向けた「わたり衆」などの取り組みを講演した。
・祭りを人・地域・歴史を再接続する社会インフラと位置づけ、観光の「見る側」ではなく「担い手」として若者や外部人材を参加させる仕組みを展開していることに驚きを感じた。
・自身の挫折や引きこもりから西粟倉村でのフィールドワークを経て起業に至った背景、学生団体設立・観光パンフレット制作から事業化へと至る価値循環モデル、企業協賛を軸にした収益設計、広島県内での多数の事例(秋津の蜜祇園祭など)による担い手回復と関係人口創出を次々と、しかも淡々と紹介したことに大変な感銘を受けた。
・時代は確実に変化していると感じた。能力がある人が社会をリードしていくのは当然のことである。しかしながら、現代社会では能力+思いやり+共生+共栄などの要素が確実に求められることから、これからのリーダーの在り方を見たように思う。片桐さんの今後の成功を願うとともに、彼女の成長を追ってみたいと考えている。
以上です。かなり詳しく書きましたが、いかがだったでしょうか?
次回は、千葉市の市町村アカデミーで開催された議員セミナーについて紹介させていただきます。

今回はこれで終わります。気候が不順です。お身体ご自愛ください。
自分も地道にこつこつ頑張ります。
池脇まさひこ拝